イタリアでの家探しの始まり
こんにちは、ぽれんたです。イタリア人の夫と娘の3人家族で、義実家で同居しています。
日本では私が働き、夫が主夫をしていましたが、イタリアに移住した後、夫が仕事と物件探しを始めることになりました。家探しには多くの困難が伴い、特に賃貸物件を見つけるのは想像以上に難しかったです。最終的には家の購入に向けてシフトチェンジすることになりました。
資金に余裕がある人や学生向けの話ではないかもしれません。ここでは、私たち家族のように行き当たりばったりの状況でも、何とかやっていけている経験をシェアしたいと思います。
圧倒的に少ない賃貸情報
イタリアでは、不動屋さんに提示される情報のほとんどが売家です。賃貸物件は全体の一割程度しかありません。賃貸物件があっても賃料が非常に高いか、手頃なものがあったとしても条件に合わなかったり、スムーズに見つからないのが現実です。
不動産情報アプリの利用
不動産アプリを利用すれば、多少の賃貸物件情報は見つかりますが、注意が必要です。
仲介人はおらず、直接オーナーと交渉して契約する必要がある物件もあります。イタリア語がある程度理解できないと、不利な契約をさせられる可能性もあります。
また、中には詐欺も存在し、実際に私達も物件を見る前にお金を請求されたことがありました。
経済的信用の問題
賃貸物件を結ぶためには、経済的な信用が重要です。
イタリアでは基本的に夫婦やパートナーの共働きが求められます。私達家族は私が主婦で収入がなく、夫も移住当初は契約社員だったため、何十件もの物件に断られました。
その後正規社員になってからも同様で、賃貸契約の条件を満たすのが非常に難しかったのです。
不利な契約条件
何十件も断られた中、唯一借りられる物件がありました。しかしその契約内容は私たちにちとって非常に厳しいものでした。
水道光熱費が月額固定で割高、さらに水道代に関しては住人全員で費用を割るシステムで、不足していたらさらに徴収すると言われました。さらに、オーナーが直接銀行からお金を引き落とせる契約を求めてきました。家賃未納や退去時の修繕費未払いを防ぐ為だそうです。
内見してみると、内装は改修されて綺麗でしたが、共有部分はひどいものでした。エレベーターは故障したまま、駐車場にはゴミが散乱し埃が厚く積もっている状態、外観も黒ずんでいるような状態でした。それなのに共益費を毎月払う意味も理解できず、後々揉めることが予想され、泣く泣く諦めました。
オーナーの私物でいっぱいのガレージ
次に希望を持てた物件も、結局は難がありました。オーナーの亡くなった両親の思い出が詰まった家で、年季の入ったタイルの壁や古い洗濯機などがそのまま残っていました。
特に問題だったのは、ガレージに古いタンスや食器棚、水が滴る古い冷蔵庫、工具、自転車、絵画など、ありとあらゆるものがパンパンに詰まっていたことです。オーナーはこれらを全て、「ご両親の思い出」として保持していたにも関わらず、このガレージ込みで賃料を払う必要がありました。ここも契約内容に納得がいかず、再び物件を諦めざるを得ませんでした。
突然のキャンセル
次に体験したのは、最後の本契約一歩手前まで進んだ物件でした。このオーナーは弁護士だったので、良い物件、良い人に出会ったと信用していました。
私達は不動産屋に指定された日に、オーナーからの電話を待っていました。しかし待てど暮らせど電話は鳴らず。こちらからかけても応答はなく、仕方なく待つことにしました。
数日待ちましたが音信不通のまま、不動産屋の担当者ですら連絡が取れない状況でした。何度もしつこく電話をしてやっと電話に出たオーナーからは、「最近友達が離婚してその人が家を探しているから、その人に貸すことにした」と言われ、愕然としました。この時私は、イタリア人を二度と信用しないと思ったくらい、イタリア生活が嫌になっていました。
家を購入する決断
賃貸での困難が続く中、家を購入することを決断しました。この決断に至るまでには、様々な要素が影響しました。
夫の友人の助言
夫の友人がシングルで家を購入した経験を共有してくれました。彼はブローカーを通じてシングルでもローンを組み、家を購入していたのです。彼の体験談が私たちにとって非常に参考になり、家を購入する可能性に目を向けるきっかけとなりました。
ブローカーの紹介と役割
友人の助言を受けて、信頼できるブローカーを紹介してもらいました。このブローカーは、私たちが家を購入するために必要な銀行を探し、保証人のような役割を果たしてくれました。私たちが見つけた物件が実際に購入可能かどうかを試算し、ローンを組めるかどうかを銀行に掛け合ってくれました。彼のサポートを得ることで、物件探しがスムーズに進みました。
家を買った方が経済的に有利
賃貸物件の少なさと条件の厳しさを経験したことで、家を購入する方が現実的であることを実感しました。賃貸市場の厳しい状況に対し、購入市場は比較的多くの選択肢がありました。さらに賃貸物件の高い賃料と比較すると、長期的には家を購入する方が経済的にも有利であると判断しました。
移住3年目にしてわずか1カ月で、夫の給料だけでも購入可能な物件がいくつかみつかり、物件を決めたらすぐに購入に向けての手続きが始まりました。経験から学んだこと
この経験を通じて、いくつかの重要な教訓を得ました。・根気強さが必要:イタリアでの家探しは一筋縄ではいきません。何度も諦めそうになりましたが、根気強く探し続ける事が重要です。
・情報収集と準備の大切さ:不利な契約を避けるためには、情報収集をしっかりと行い、無理な条件にははっきりと「NO」といわなければなりません。契約内容を理解し、自分たちに不利な条件がないかを慎重に確認することが大切です。
・コネクションの重要性:イタリアではコネクションが有利に働くことが多いです。可能な限り現地の信頼できる友人や知人に話をして、紹介してもらえるチャンスがないか確認することが成功への鍵となります。
・日本との違いを理解すること:日本の不動産屋とは違い、イタリアの不動産屋は積極的に家探しの手伝いをしてくれるわけではありません。あくまで売り手と買い手の橋渡しのような役割をするだけで、日本のように間に入って丁寧に対応してもらえるとは限らないため、自分で積極的に情報収集を行ったり、オーナーとコンタクトをとったりすることが求められます。
最後に
イタリアでの家探しは苦労の連続でした。しかし、諦めずに取り組むことで、道が開けることを実感しました。
現在、家購入決断から2ヶ月目にして、仮契約を交わすところまできました。もうすぐで家を探すという目標が達成されそうです。私たちと同じように家探しをしている方々にとって、この経験が少しでも参考になれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございます。