こんにちは、ぽれんたです。
イタリア・ベネチアへの旅行を考えている皆さんに、今回は是非味わってほしい「この土地ならではの食べ物」を8品ご紹介します。
ピザやパスタはイタリア料理の定番としてとても有名ですが、実はそれ以外にも、現地でよく食べられている料理がたくさんあります。
でも、旅行中にレストランやバールで知らない料理の名前を見ると、「どんなものかわからないし、口に合わなかったらどうしよう」と不安になって、つい無難なものを選んでしまうことってありませんか?
旅行の前にこういった料理を少しでも知っておくことで、実際に出会ったときに「これ、見たことある!」「ちょっと食べてみようかな!」と思えるきっかけになるかもしれません。
“その土地の味”に出会う旅のヒントになれば嬉しいです。

1. Spritz(スプリッツ)
旅のはじまりに、まずは軽く一杯。そんな乾杯からスタートするのも、ベネチアの楽しみ方のひとつです。
スプリッツは、ベネチアを含むベネト州発祥のアペリティーボ(食前酒)で、夕方のバールでは定番のカクテルです。
アペロールというオレンジ色のリキュールに、地元産の発泡性白ワイン・プロセッコと炭酸水を加えて作られ、ほろ苦く爽やかな味わいが特徴です。
伝統的にはオリーブを入れるのが一般的ですが、最近ではオレンジスライスを添える店も多く、スタイルに違いがあります。
飲み方や見た目も地域やバールによって個性が出るのが面白いところです。通常は夕食前に軽く一杯というスタイルですが、休日などは午前中から楽しむ人もいます。
ベネト州のバールやレストランであれば、ほとんどのお店でスプリッツを扱っているので、いつでも気軽に楽しむことができます。
2. Sarde in Saor(サルデ・イン・サオール)
サルデ・イン・サオールは、ベネチアの代表的な前菜のひとつです。
素揚げしたイワシを、酢でマリネした玉ねぎ、レーズン、松の実と一緒に漬け込んであり、もともとは漁師たちが魚を保存するために考え出した料理です。
今では家庭料理としてだけでなく、レストランやバーカロ(ベネチアの立ち飲み屋)でもよく提供されていて、チケッティと呼ばれる小皿料理として並んでいることもあります。
しっかりと味がしみ込んでいて、冷たいまま提供されるのが一般的です。
日持ちがすることから、数日寝かせて味をなじませたものほど美味しいとされています。
ベネチアの食文化を知るうえでも、一度は味わっておきたい一皿です。
3. Risotto al nero di seppia(イカスミのリゾット)
ベネチアをはじめ、ベネト州の沿岸地域でよく食べられている魚介料理のひとつが、イカスミのリゾット=リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピアです。
イカの身と内臓、そして墨を一緒に煮込んで作られ、真っ黒な見た目が印象的ですが、味わいは意外とまろやかで、イカの旨味がしっかりと感じられる一皿です。
米はイタリア産のリゾット用米が使われ、墨の色と風味が芯まで染み込んでいます。
仕上げには刻んだイタリアンパセリをふりかけることが多く、魚介中心のレストランではプリモ(第一の皿)としてよく見かけます。
ベネチアでは同じイカ墨を使ったスパゲッティもありますが、リゾットのほうがより一般的です。
4. Baccalà mantecato(バッカラ・マンテカート)
バッカラ・マンテカートは、干しダラを使ったペースト状の料理で、これもベネチアのレストランやバーカロで前菜やチケッティとしてよく提供されています。
>塩漬けされたタラを牛乳でやわらかく戻し、オリーブオイルと一緒に練り上げてクリーム状にしたもので、パンやポレンタの上にのせて食べられることが多いです。
塩気はありますが、口あたりはなめらかでクセが少なく、味付けはとてもシンプル。素材の味を活かした素朴な味わいで、日本人の口にも合いやすいと感じる料理のひとつです。
昔は家庭でも作られていましたが、手間がかかるため、現在ではレストランやバーカロで食べることの方が一般的になっています。
旅行中にも出会いやすい料理なので、見かけたらぜひ一度味わってみてください。
5. Fritto misto di pesce(魚介のフリット)
ベネチアをはじめとするアドリア海沿岸では、新鮮な魚介をシンプルに揚げたフリット・ミスト・ディ・ペッシェが定番の一品として親しまれています。
イカや小魚、エビなどを軽く衣をつけて揚げた盛り合わせで、レモンを添えて出されることが多い料理です。
お店によって使われる魚介の種類は異なりますが、衣は薄くオリーブオイルでカラッと揚げられているため、重たさはなくあっさりとした後味。
見た目のボリュームに反して、意外とぺろりと食べられてしまう軽やかさがあります。
レストランではセコンド(メイン料理)として登場することが多く、バーカロでは少量のフリットがチケッティとして並ぶこともあります。
日本の天ぷらにも少し似ていて、素材を引き立てる揚げ方や軽い後味に、親しみを感じる人も多いかもしれません。
6. Moscardini(モスカルディーニ)
ベネチアの市場で見かける、吸盤が一列しかない小さなタコ「モスカルディーニ」、 見慣れたタコと比べて足が細く、身が柔らかいのが特徴です。
ベネチアでの代表的な食べ方は、トマトソースで軽く煮込んだ「moscardini in umido(モスカルディーニ・イン・ウーモ)」。
少しだけピリ辛に仕上げてあることもあり、パンとの相性も抜群です。
また、塩ゆでしたものをオリーブオイルとレモンで和えた「moscardini lessati(モスカルディーニ・レッサーティ)」も定番で、タコらしい風味はありつつもクセがなく、あっさりとした味わいが楽しめます。
レストランでは定番メニューというよりも、日替わりやおすすめ料理として出されることが多いようです。
そのため、見かけたときは、ベネチアらしい味を楽しむチャンスかもしれません。
7. Seppie al nero(セッピエ・アル・ネーロ)
イカ墨で煮込んだ、ベネチア伝統のイカ料理ベネチアやラグーナ(潟)周辺の町で親しまれている、セッピエ・アル・ネーロ。
これはコウイカ(seppia)を、イカ墨ごとトマトや白ワインと一緒にじっくり煮込んだ、この地方ならではの料理です。
柔らかく煮込まれたイカに、イカ墨のコクと海の香りがしっかりと染み込み、濃厚なのにくどくない、奥深い味わいが楽しめます。
お店によってはそのままお皿で提供されることもありますが、白いポレンタ(polenta bianca)と一緒に盛り付けられていることも多く、真っ黒なイカ墨とのコントラストがとても印象的。
まさにベネチアらしい一皿です。
8. Fegato alla veneziana(フェガート・アッラ・ヴェネツィアーナ)
イタリア全土でレバーを使った料理は見られますが、フェガート・アッラ・ヴェネツィアーナは、ベネチアならではの伝統的な一品です。
薄切りにした仔牛のレバーを、たっぷりの甘い玉ねぎと一緒にじっくり炒めて作られます。
レバー独特の風味と玉ねぎの甘みがバランスよく絡み合い、しっかりとした味わいながら、後味は驚くほど軽やか。
ベネチアでは古くから家庭料理として親しまれてきた一皿で、素材の組み合わせはとてもシンプルですが、火加減や仕上げのワインビネガーの使い方によって味の印象が大きく変わります。
近年ではレバー料理を扱うレストランが少なくなりつつありますが、フェガート・アッラ・ヴェネツィアーナは今も大切に受け継がれている、ベネチアの郷土料理のひとつです。
レバーというと敬遠されがちですが、この料理は玉ねぎとの調和がとても繊細で食べやすいため、普段あまりレバーを好まない人にもトライする価値のある一品です。
最後に
ベネチアの魅力は、風景や建物だけではありません。
その土地で受け継がれてきた料理にも、静かな感動があります。
旅の途中で出会ったときは、ぜひその一皿に心を傾けてみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
